|
|
|
ノバルティス科学振興財団設立の趣意
|
- 今日、日本の科学技術は着実に進歩の度を増し、分野によっては国際的水準を凌ぐ程といわれています。過去において、日本では斬新なアイデアに基づく発明や発見が少ないといわれておりましたが、ここ数年バイオサイエンス、新素材等の分野で数多くの創造的な研究が息吹き始めております。これら今日の研究努力が、ガンや難病等疾病の診断、治療、予防、作物の保護育成、環境保護及び生活様式の改善等、人類の福祉の向上に大いに寄与することが期待されます。世界各国が日本の科学技術の進歩に注目しはじめ、日本が21世紀の化学の牽引車となるであろうことを予想しているといっても過言ではありません。
- しかるに、日本における研究の情況を内々から観ると、真の牽引車となるべき条件が整っているとは言い難いのが現状であります。たとえば、創造的研究を振興するための土壌が十分培われていないということは学識経験者からも指摘されるところであります。創造的研究を遂行するためには、研究者には直観や決断力と同時に、かなりの忍耐力が要求されます。それと同時に創造的研究の芽を絶やすことなく振興し、人類の進歩に寄与する結果を得るに至るまで、研究者に対して精神的な援護のみならず、研究の維持継続のための資金的な助成、並びに国境を越えた交流の場の提供が望まれることは周知のことであります。
- チバガイギー(現ノバルティス)グループは、各国において単に商業活動のみを目指すものではなく、根ざす社会に経済的な面から、また社会福祉の面からも貢献することを経営理念としてうたっております。この理念にそって、たとえば英国にチバ財団、スイスにはフリードリッヒ・ミィシャー研究所を設立しました。そしてこの度、チバガイギーグループとして日本における自然科学の創造的研究、及びそれに携わる研究者間の国際的交流に対する助成等を通じて、学術の進展と福祉の向上に寄与すべく、邦貨にして10億円の基金並びに運営のための年金を提供すべきである旨の決定をいたしました。
- チバガイギー(現ノバルティス)グループは、斯様な決定を遵守し、財団法人チバガイギー(現ノバルティス)科学振興財団を文部省の許可のもとに設立せんとするものであります。来るべき21世紀の科学の軸となる自然科学の創造的研究の振興助成をはかり、以って人類の福祉に寄与できればこのうえもないよろこびと考える次第であります。
1987年 6月 3日
|
|